こんにちは。
医療費補助にはさまざまな制度がありますが、本日は、心療内科・精神科に通院をされる方が利用できる制度(※利用条件あり)の1つ『自立支援医療制度』に関するお便りです。
・そもそもどういう制度なの?
精神疾患をお持ちで、継続的に精神(通院)医療を受ける方が、公費によって医療費の補助を受けることができる制度です。
もちろん、病院や薬局では保険証が使用できますが、それでもひとによっては通院ごとに3割をお支払いされるということが負担になる方もいらっしゃるかもしれません。
特に週1回、月に1~2回、定期通院をされている方にとって病院代は毎月かなりの負担になるのではないでしょうか。
そこで、この制度の登場です。
この制度を利用することにより、3割だった自己負担が原則1割となります。
更に、病状や世帯の所得状況によって月々の負担上限額が設定され、月の途中で上限額に達した場合、その月はそれ以上の自己負担はありません。
例:月の上限額が2,500円と設定されている2週間ごとに通院のAさんの場合[1回目] 8月1日 病院代480円+薬局代950円=1,430円
[2回目] 8月15日 病院代480円+薬局代680円=1,160円
↳1日、15日の合計のお支払いが2,590円と、上限額の2,500円に到達。
差額の90円は支払いが生じず、15日のお支払いは計1,070円で済みます。
[3回目] 8月29日 病院代480円+薬局代680円=1,160円
↳すでに2回目の8月15日で上限額2,500円に達しているので、この日は自己負担はなし。
・どんなひとが利用できるの?
精神疾患により、通院による治療を続ける必要のあるかたが対象です。
疾患の対象例:うつ病、双極性障害、不安障害、統合失調症、不眠症、パニック障害、てんかん、発達障害など
・どこで申請ができるの?
お住いの市区町村の窓口で、原則として利用されるご本人が申請をすることができます。
※担当窓口は市区町村によって名称が異なりますので、「自立支援医療の申請をしたい」と総合窓口でお伝えするのが確実です。
・申請から利用までの流れ(調布の森クリニックの場合)
- 主治医に相談しましょう。
- 自分が対象であることを主治医から確認が取れたら、市区町村の担当窓口へ行きましょう。
市区町村の担当窓口では
・自立支援医療費支給認定申請書
・自立支援医療診断書(精神通院医療用)
の2つの書類をもらいましょう。
自立支援医療診断書(精神通院医療用)をクリニックに持参し、書類作成の申し込みをしましょう。
※当院では診断書の完成までに約2週間いただいております。
下記の持ち物をもって、市区町村の担当窓口へ申請しましょう。
・自立支援医療費支給認定申請書
・自立支援医療診断書(精神通院医療用)
・健康保険証
・世帯の課税状況の確認できるもの 例:区市町村民税課税(非課税)証明書など
申請が受理されると、その場で『申請の控え』が発行されます。
こちらは大切に保管し、次回より受診時に毎回受付でご提示ください。
正式な受給者証が届くまでは3ヶ月程度要することがありますが、
『申請の控え』を提示することで正式な受給者証が届く前に適用を開始することができます。
・注意点
- 医師による診断(申請時には診断書)が必要です。自己判断による申請はできないので、興味がある方はまず主治医に相談しましょう。
- 診断書の作成にあたっては診断書作成料(当院ですと5,500円)がかかります。
- 自立支援医療制度が利用できるのは、原則、申請時に決めた指定の病院1箇所、薬局1箇所のみです。そのほかの病院や薬局では使用できません。ただし、「別の医療機関でしか対応できない治療内容がある場合」や、「デイケアを利用したいがかかりつけ医が行っていない場合」などは、追加申請ができます。
- 2年に1回、診断書が必要となる更新があります。
- 自立支援医療制度の適応範囲は、精神障害あるいは障害に起因して生じた病態に対する医療行為と投薬のため、風邪薬や花粉症のお薬などは処方されたとしても適応外となります。
今回のお便りを読んでいただき「制度の存在を知られてよかった。」と思ってくださる方がいれば、嬉しいです。
興味を持たれた方、自分は対象なのか知りたい場合には、まずは主治医にご相談ください。