発達障害という言葉は、もう皆さん聞き慣れているのではないでしょうか。自閉症スペクトラムやADHD(注意欠如多動症)、知的発達症(知的障害)などなど。
ここ20年ほどで、発達障害の捉え方は大きく変わってきています。
発達障害はスペクトラム概念となり、その特性が濃厚な方から薄い方、またその特性もさまざまなバリエーションがあることがわかっています。
いわゆるグレーゾーンと言われる方達はたくさんいますし、医療機関に訪れることなく、社会で活躍されている方もいらっしゃいます。
ただ一方で、グレーゾーンの方の中には仕事が続かない、仕事が辛くてうつ状態になっている方も多い印象です。おそらく、IT化が進み、企業が求める人材が、コミュニケーションスキルが高く、マルチタスクができ、仕事が早い、といった方々に偏りがちなことが影響しているのでしょう。
“人材”という言葉は、私はやや無機質に感じます。まだ学生のうちは、人を“人材”として捉えることはせず、人を“人”として育てようと試みますので、多少は穏やかでしょうか。いや、学生もまたカースト制度があったり、キャラを演じなくてはいけなかったり、入試があったり、生きづらさが多々あるのが現実と思います。
こんなギスギスした世の中だからこそ、誰もがそこそこ幸せに、“辛いこともあるけど頑張ろう”と思える社会作りが必要でしょう。精神科医の独り言ではありますが、診察室で日々意識することです。
精神科医は、疾患の診断、二次障害(うつ症状、不眠、自律神経の不調など)の治療はできますが、発達特性に合わせた能力開発、ソーシャルスキルの習得、社会参加の支援は上手ではなかったりします。
言い訳のようですが、限られた診察時間と1対1の対話だけでは正直難しいです。
さて、2022年9月19日、発達障害の支援で草分け的存在のKaienさんが、「ニューロ・ダイバーシティ サミット JAPAN 2022」を開催されました。
当事者、家族、支援者、医療・教育関係者、企業関係者など、さまざまな立場の方達が議論し、インクルーシブルな社会の実現に向けて、就労支援や教育支援がどのように行われている知ることができます。
当日の様子が、アーカイブ動画としてyoutubeに公開されていますので、興味がある方はご覧ください。
支援機関によって得意不得意がありますので、いろいろ調べて、実際に足を運んでみることをお勧めします。
今の時点で就労はハードルが高いと感じている方には、安心感のある居場所的なところをお勧めします。“ここに居ていいのだな”という感じが得られることが、一番大切だからです。
皆さんが一歩ずつ歩まれることを願っています。