今年はいろいろな変化があった1年でした。
その中でも、ChatGPTをはじめとする生成AIの進化には驚きました。また、ファミリーレストランに行けばロボットが配膳してくれますし、スーパーのセルフレジも増えて、自動化が本当に進んだなと感じます。
私が小さい頃は、駅の改札には切符切りの駅員さんがいて、「カチカチ、カチ」とリズミカルに音を奏でていたことをふと思い出しました。調べてみると、1990年に自動改札機が山手線で導入されてから、切符切りの駅員さんが減ったようです。駅員さんの腱鞘炎は減ったかもしれませんし、紙ごみも減ったことでしょう。でもちょっと寂しいですね。
いつの時代も科学技術の進歩で、生活はどんどん便利になっていくのでしょう。一方で、自動化が進めば、人の活躍の場はどうなるのかと、ふと不安になったりもします。
多様性が叫ばれる中、実際はその逆を行っているように思えてなりません。科学の進歩は止められない、生かすも殺すも人間次第です。
診察室では、若者世代の患者さんからオープンワールドでプレイするオンラインゲームやSNSの活用など楽しい話もある一方、オンライン授業の普及に伴う大学生の孤立、リモートワークや業務内容の急激な変化に伴う心身の不調など、メンタルヘルスに影響が出ています。
AIがもたらす生活や労働の変化は、日々の診療場面でも頻繁に話題に上がり、治療や支援にも工夫が必要だと感じています。
これらの変化に順応していく人々、順応が難しい人々、その差はどうなっていくのでしょうか。経済格差が広まれば、分断が進み、富める者も貧しき者も生きづらい社会になってしまうかもしれません。
変化には痛みがつきものだとしても、できる限り、誰もが健康に、希望を持ち、そこそこ幸せに暮らせる社会でありたい。当院もできることを尽くしていきます。
さて、タイトルは「AI(人工知能)がメンタルヘルスにもたらすもの」でしたね。
知能では人間はAIに勝てなかったとしても、人間という生き物にはAIにはない、”こころ、愛、人情”があります。そうである限り、AIが進化しても人間の本質的は変わらないのではないでしょうか。今のところ、恋愛も遊びも生き物である人間の特権です。赤ちゃんや子供は、大人には意味のなさそうなことが面白くてたまらないのです。
AIの進歩が産業構造を変える局面は大変ですが、メンタルヘルスの本質は変わらないと思っています。
なんだかまとまらないコラムですみません。
一精神科医のつぶやきでした。
今年一年、皆さん本当にお疲れ様でした。
自分に「ありがとう」の一言を送ってあげてください。
2024年が皆さんにとって、よい年になることを願っています。